iPhoneだって一度使ってしまうとなかなかアンドロイド版のスマホに戻しにくいのは、機種を変えた時にデータの移行がスムーズではなく「別の会社の機種にするのは面倒くさい」と顧客が感じるからです。これは私も同じ。だから私は「アップル信者」ではなく、「アップルの囚人」だと思っています。囚われてしまったのです。同様にテスラにはまるのも同じこと。

今、アメリカでTikTokの規制問題が話題になっています。連邦控訴裁判所がTikTokの規制は合憲と判断し、1月19日に施行されます。

さて、これが正しい判断なのか揺れるその裏側で理解しておくべきことがあります。それはTikTokが規制されれば誰が笑うか、です。そう、メタ社のマークザッカーバーグ氏が笑うのです。そりゃそうです。SNSの覇者である同社にとってライバルが規制されればこれは願ったりかなったりでしょう。同社の株価はうなぎのぼりで上昇していますが、ほとんど話題にはなっていないのはむしろ話題にしないようにしているのではないかと勘繰りたくなるのです。

ただ、トランプ氏の考えは揺れており、ザッカーバーグ氏が独り占めすることに躊躇しているとされ、もしかすると施行される1月19日の翌日、つまりトランプ氏が大統領に就任する時に「いや、待て!」というかもしれません。これも一種の囲い込みの発想の一つであり、その結果、寡占化、複占化から独占に移行するわけで、資本主義経済学としてはあまり芳しくない展開になるのです。

つまり自前主義が行き過ぎると顧客側は選択肢が少なくなり、供給側の言うなりなりやすくなるのです。これは競争の原則とか、切磋琢磨された商品開発といった観点からは相当のマイナスです。

日本では「出る杭は打たれる」傾向が強い為、自前主義とか独占という発想はなかなか展開しません。たとえば旧経営陣の時代のシャープは自前主義ブラックボックス型ビジネスでしたが、結局それは行き詰ります。そもそも自前主義を唱えてもそれより良い製品が必ず出てくるため、自前にこだわることで技術的革新が遅くなることを日本の経営者は経験則で理解しているのでしょう。