研究チームは、社会的時差ボケを1時間未満、1時間以上2時間未満、2時間以上の3つのグループに分けて分析を行いました。

その結果、社会的時差ボケが大きいと、BMIや体脂肪率の減少が少ないことが確認されました。

社会的時差ボケ(SJL)とダイエット効果との関係
社会的時差ボケ(SJL)とダイエット効果との関係 / Credit: Minabe et al. (2024) Sleep and Biological Rhythms (CC BY 4.0)

この関係は、性別や年齢、参加期間、食事量などの他の要因を考慮した上でも認められ、運動や食事による減量プログラムの効果が睡眠習慣に影響されることを示唆しています。

一方、今回の減量プログラムでは、参加者に個別の対面栄養指導が行われ、体重を減らすために必要な食事量について明確なアドバイスが提供されているという特徴があります。

しかし、実社会では、こうしたサービスに申し込まずにダイエットを進めている人が大半だと考えられ、この場合、自分の意思で食事量をコントロールすることが求められます。

このような状況では、睡眠時間の長さが特に重要であることも分かっています。

次のページでは、睡眠時間を延ばすことがダイエット効果に与える影響について紹介します。

睡眠時間を延ばすだけで食事量が減り痩せる

アメリカ・シカゴ大学のエスタ・タサリ博士を中心とする研究グループが、睡眠時間を増やすことで減量効果が得られることを示す研究成果を2022年に発表しています。

この研究では、体重が重く、普段の睡眠時間が6.5時間未満の若年成人(21~40歳、BMI: 25~29.9)を対象に、睡眠延長群と対照群の2つのグループに分けて4週間の介入を行いました。

4週間のうち前半2週間は、両グループとも普段通りの睡眠を取るよう指示されましたが、後半2週間では、睡眠延長群に対してのみ、睡眠時間を8.5時間に延長することを目的とした個別カウンセリングを実施することで、睡眠時間を延ばすアプローチが取られました。