■歴史ある地・遠野
「河童の色」と聞くと、緑色を連想する人が多いだろう。しかし『遠野物語』に収録された河童の話の中には、「遠野の河童は顔が赤い」という記述があり、やはり遠野の河童はひと味違うようだ。
博物館の担当者は「厳しい自然環境に向き合う生活の中で、遠野の人々は救いを求めて様々な神を生み出し、熱心に信仰してきました。また、囲炉裏端での祖父母による語りの中にも色々な『モノ』が潜んでいたことは、現代に残る語り部たちの話からも明らかです」と、遠野の環境と歴史について触れる。
続けて「連綿と受け継がれてきたこの地の暮らしが『遠野物語』を生み、時代を超えて読み継がれることで、遠野の河童達は現代まで生きながらえてきたのではないでしょうか」と、河童に対する敬やと慈愛を感じさせるコメントを寄せてくれた。
そんな遠野市立博物館は、1980年(昭和55年)に日本初の民俗専門の博物館として開館した歴史ある施設。2010年にはリニューアルを行い、国内外を問わず「遠野」という土地に魅せられた来館客が足を運んでいる。
Xの投稿をきっかけに同館に興味を抱いた人々に向け、担当者は「今年の夏季特別展(実施期間:7/19~9/23)は『遠野物語と異界』です。異界とは、日常生活の場や時間の外側にある世界を指し、『遠野物語』や遠野、岩手県内の異界や境の神に関する伝承や信仰資料を中心に展示します。この夏、遠野の異界をそっと覗きに来ませんか」と、呼びかけていた。
「日本の原風景」と名高い遠野の魅力を、ぜひ五感で体験してみてほしい。
【施設詳細】
「遠野市立博物館」
岩手県遠野市東舘町3−9