決勝レース
決勝では井口がスタートドライバーとなり、ポールポジション#88のランボルギーニを追いかける。後方は#2のGR86以下をどこまで引き離せるかになる。タイヤの温まりの早いダンロップの特徴を活かした序盤になると予想できた。
ところがスタートしてみると#88を追い詰めるどころか、離れていくのだ。予選で使ったタイヤを全車が装着しているが、一度使用したタイヤは温まりが早いのだろうか、#2のブリヂストンも序盤から井口に襲いかかっている。スタートを見る限りタイヤのアドバンテージはなかったのだ。
10周を超えたあたりで早くも井口からリヤタイヤのグリップが薄くなっている、と無線で伝えられた。井口はポジションキープに作戦を変えるものの#2の猛烈な追い上げを防ぐことはできず、3位に後退した。抜かれた#2に追いすがろうとするものの、逆にどんどん離れていった。
3位のまま井口から山内に代わり、タイヤは4本交換しハードタイプを装着した。ソフトタイプは初期のグリップは高いもののタレが早いこともわかったことへの対応だろう。
フルサービルを受けた山内は9番手でコースに戻る(モニター上では12位)。先行するマシンはタイヤの無交換かリヤ2本交換というチームがおり、ブリヂストンは無交換が多い。ニュータイヤを履く山内はピットストップで失ったタイムをコース上で取り戻すことになる。
オートポリスで見せた17台をごぼう抜きにしたレースの再現を期待した。しかし、ピットアウトしたBRZ GT300の現在地はトップ#88と40秒以上の差がついてしまい視界にいない。目の前の#777がターゲットとなり、1台ずつ追い抜くことが狙いになる。
コースで取り戻せるか
山内は上位チームより速いタイムで周回をし、先行車との間を詰めていく。同じダンロップユーザーの#777も山内と似た展開で、ともに好タイムを連発していた。そして2台を抜き7位まで順位を戻したが、徐々に山内のタイムが落ち着き始めた。
やはりタイヤのグリップが下がってきている様子で、残り10ラップほどの時点で山内の猛追は影を潜め、後続マシンとのギャップに目がいく展開に変わってしまった。幸い30秒近いリードがあったため7位はキープし、そのままチェッカーを受けた。
ゴールしたとき山内はトップとの差を21秒まで縮めており、20秒近くをコース上で取り戻したことになる。だが、タイヤ無交換チームにニュータイヤで挑んだ山内が追いつけないのは悔しいだろう。こうした結果は次世代タイヤ開発に期待したい。