石破茂首相は、衆議院の本会議において、企業・団体献金は「自民党として不適切だとは考えていない」と明言した。「政党として避けなければならないのは献金によって政策がゆがめられることだ」と主張。一方、立憲民主党を中心にした野党は企業・団体献金廃止の法案を提出した。

石破さんの企業・団体献金のスタンスは、「禁止よりも公開だ」ということらしい。筆者は企業・団体献金どころか、個人献金も規制をすべきという立場なので、少し残念ではある。とはいえ、自民党にとっては、力の源泉でもある企業・団体献金廃止は難しいだろう。それは党の存続に関わることだからだ。そこは仕方ないかもしれない。

しかし、自民党として廃止ができないなら、「完全公開」、つまり、すべて完全フルオープン、誰もが情報を見れてチェックできるような、透明性を確保する方向を約束してもらいたい。

自民党HPより

企業団体献金は日本経済にマイナス

企業・団体献金は、有力者とのお付き合いのみたいな位置づけのものも多いが、コネクションや関係性構築、行政の規制回避、補助金取得、公共事業受注といった目的での色が濃い。特に日本経済に悪影響である。

その理由は、既存の業界地図を固定化するからだ。この失われた30年の経済不振、既得権益を固定化させ産業構造改革が進まなかった。1980年代まで日本経済を支えた製造業はそのプレゼンスが低下し、リーディング産業といえないのだが、製造業、特に大企業中心の経済政策が行われてきた。

野口悠紀雄さんによると「1990年代の後半以降、円安政策がとられた。2000年代になってからは、積極的な介入によって円安への誘導が行われた。これによって重厚長大型の製造業が輸出を増やすことができた。この円安政策がビジネスモデル変革や技術開発が十分に行われなかった大きな原因」(野口さん著「どうすれば日本経済は復活できるのか」SB新書)ということだ。