興味深いニュースは、イスラエル空軍が8日、シリア国内のアサド政府軍の軍事拠点を空爆したことだ。決して火事場泥棒ではない。ネタニヤフ首相は8日、アサド政権の崩壊を歓迎し、「イスラエルがヒズボラや武装勢力を弱体化させたことでアサド政権は急速に弱まった」と説明。アサド政権の崩壊にはイスラエル側の功績があったと強調する一方、シリア政府軍が保有している大量破壊兵器(化学・生物兵器など)が危険な武装勢力の手に渡らないためにシリア国内の軍事拠点を破壊したという。アサド政権は過去、化学兵器を実戦で使用したと報じられてきた。

なお、シリア国内には約900人規模の米軍兵士が駐留している。トランプ新政権が発足すれば、シリア駐留の米軍は完全にシリアから撤退するのではないか、といった情報が流れている。そうなれば、トルコ軍がシリアでの影響力を一層拡大することになる。

参考までに、イランにとってアサド政権の崩壊は大きな痛手だ。イランはレバノンのシーア派武装勢力「ヒズボラ」への軍事支援をシリア経由で行ってきた。その運送拠点のシリアのアサド政権が倒れたことで、ヒズボラへの支援がこれまで以上に難しくなるからだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年12月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。