前回、承認欲求を満たすのは「自分がキラキラする」のとは違うよ、ということを書いた。ここ数年間書いてきたとおり、それを直観的にわからせてくれる素材として、ベストなのは対面でボードゲームを遊ぶことである。
キラキラしてるから私を認めて! というのは、ボードゲームで言うなら「お前らに勝った俺様スゲー!」みたいなものだろう。しかし、ふつうはそういう人とは、あまり遊びたくない(笑)。それに、勝つ人しかプレイを通じて承認を得られないかというと、もちろんそんなこともない。
そのことについて、執筆した『公共』の教科書をめぐるインタビューの中で、ぼくはこんなふうに話している。
ぼくはうつで3年間ほど働けなくなり、リワーク施設に通っていた時期があります。そこで知りあった友人たちと、施設でよくプレイしていたボードゲームを久しぶりに、自宅で再戦してみたんです。
うつの最中は脳の機能が低下するので、ルールの飲み込みも遅くなります。逆にいまは、みんな職場に復帰しており、当時よりずっと元気。……なのですが、リワークでは昼休みの余り時間にささっと遊んでいたゲームを終えるのに、1時間以上かかってしまいました。どうしてか。