かつてはワイドショー、今はニュース番組が「不適切」の現場に

 今から30年くらい前、ワイドショー(情報番組)のレポーターによる無神経な取材が問題になったことがありました。重大な事件・事故などの被害者や加害者の周辺にカメラが殺到するメディアスクラム(集団的過熱報道)です。たとえば、突然わが子を失って悲しみのどん底にある家族をカメラとマイクで追い回し「今のお気持ちは?」と尋ねるような取材が社会問題になりました。当時は報道記者としての訓練を受けていないワイドショーの取材マナーや倫理が強く批判されました。

 ところがワイドショーでは自ら事件・事故を取材するよりも、スタジオに専門家を呼んで解説するスタイルが増えたことで、現在では訓練を受けたはずの報道記者が安直な取材で問題を起こすケースが目立っています。今回の水原氏をめぐる取材でもそれが露見しました。明らかに「不適切」です。令和の時代にはそうした手法は許されません。そのことが「マスゴミ」と言われ、テレビの報道全体が信頼を失う要因になっていることを反省してほしいと思います。今回の取材をした記者本人もそうですが、その放送をチェックしたデスクや番組関係者も、このやり方は令和の時代には通用しないことを大いに反省すべきです。

(文=Business Journal編集部、協力=水島宏明/上智大学教授)

提供元・Business Journal

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