なお、日本でこのエアモニタを導入希望ならば、最も安価なApriSensor-SH sensorkit(145,00ユーロ)で良いと思う。データは数日間しか保持されないが、その間に測定グラフをダウンロードすれば済む。

Scapelerエアモニタの設置数を確認(2024年1月17日現在)したところ以下の状況である。

オランダ:90基以上、ベルギー:7基

スイス:6基

日本:1基

ちなみに、筆者が設置したこの1基は、EU域外で最初のものである。

なお、各国とも設置位置はプライバシーに配慮し正確な設置位置を示さないようになっている。

どの国でも身勝手な煤煙発生者は常に凶悪粗暴身勝手であるそうで、実際にドイツ等では、薪ストーブ使用者に苦情を伝えたら逆に被害者側が薪で殴打される・刃物で斬りつけられる・チェンソーや鉈で威嚇される・嫌がらせとして警察に偽の通報をされる・という事件が起きているようだ。

個人設置の測定機器の正確な位置の秘匿は犯罪予防策でもあるという。

筆者も前述のように「威圧恫喝」の他に、「チェンソーや草刈機の空ぶかし・犬のけしかけ」という悪質な嫌がらせを薪ストーブ家屋から受けたことを付け加えておく。

オランダ国内の大気汚染解決団体

ここで、「Scapeler」と協力関係にある組織、「Stichting HoutrookVrij」について簡単に触れておこう。

オランダ王国では、薪ストーブや暖炉が非常に多く設置使用され(ヨーロッパで最も人口密度の高い国であるオランダには約100万台の薪ストーブがある)、その煙害被害(迷惑行為とされている)が欧州随一の酷いレベルであるという。

そのような状況の改善のために民間人研究者や被害者が結集し運営している組織である。活動は測定調査だけでなく、研究をもとに政治家や社会に啓蒙・働きかけを積極的に行っている。

筆者が思うにはこれらの組織は現在、世界で最も先進的かつ実務的な大気汚染解決団体であると言える。

そして、技術に特化したScapelerメンバがノウハウを結集し独自に開発したエアモニタは被害者自身のニーズを盛り込み、住環境での煙害被害の実態を自身で測定するに最も適した機器であると言える。