今回、アサド政権を支えるシリア・アラブ軍や国民防衛隊は、ほぼ戦わずに崩壊した。SNS上で拡散された動画には、兵士が抵抗するなと命じられたと証言するものもあった。重火器など装備は放棄されたものの、兵力自体は温存されている。今後、HTSの統治が多くの混乱を生めば、リビア同様、有力な将軍の一声で残党が糾合する可能性がある。そうなれば結局、内戦は再燃する。

アサド政権の崩壊は、シリアの自由と民主主義の始まりではなく、新たな混乱の幕開けに過ぎない。