さらに、共産党は、軍事費増額は多額の政治献金をした特定の軍需産業に利益をもたらすと断定する(『赤旗』12月7日)。しかし、ロシアのウクライナ侵略や台湾有事、北朝鮮の核ミサイル・露朝軍事同盟など、近時の安全保障環境の悪化により国家と国民を守る防衛力強化・防衛費増額が不可欠であることは、野党を含む多くの政党や国民も支持しているのである。

共産党が、前記のとおり党綱領で敵視する大企業や財界は、資本主義経済体制の維持存続を前提とする存在である。

社会主義革命が起これば、生産手段は社会化されるからである。そうだとすれば、上記最高裁判例が判示するように、特定の政党の特定の政策を支持推進するための政治献金も自由であるから、大企業や財界には利益誘導や利益還元とは全く無関係に、ひたすら資本主義経済体制を維持存続する自民党に政治献金をする十分な合理性があると言えよう。