共産党のいわゆる「裏金問題」追求
共産党は機関紙『赤旗』で自民党のいわゆる「裏金問題」すなわちパーティ収入に関する政治資金収支報告書不記載問題を暴露し徹底的に追及した。その結果、自民党は「政治と金」の問題で国民の強い批判を受け、今般の総選挙で大敗し過半数を失った。
共産党の「裏金問題」追求の目的は自公政権を過半数割れに追い込み、政権交代による「野党連合政権」の樹立である。首相指名選挙でも共産党は野党である立憲民主党の野田佳彦代表に投票している。
共産党主張の「企業献金禁止」共産党は「裏金問題」に関連して「企業献金」の全面禁止を主張し、11月28日に「企業・団体献金全面禁止法案」を参議院に提出した(『赤旗』11月29日)。
その理由は、
選挙権のない営利を目的とする企業が自民党に多額の献金をするのは見返りを求めるためであり、金権腐敗政治の温床となっており、多額の献金で国の政策をゆがめることは国民の参政権の侵害である。賄賂である企業献金は禁止しなければならない。
原発、軍需、マイナンバー、大型開発などの関連企業は自民党に多額の政治献金を行い、公共発注を受け利益還元されている。消費税減税を拒否する背景には、多額の政治献金をする財界の要求による法人税の減税がある。
(『赤旗』12月1日、12月2日、12月7日)
などというものである。
「企業献金」は最高裁判例により合法合憲「企業献金」の合法性・合憲性については有名な昭和45年(1970年)「八幡製鉄所政治献金事件最高裁大法廷判決」がある。事案は八幡製鉄所の代表取締役2名による自民党への350万円の政治献金の違法性・違憲性が争われた株主代表訴訟である。
判決は下記の理由で、「企業献金」の合法性・合憲性を認めており、確定した最高裁判例となっている。
企業は一定の営利事業を営むが、納税の義務を負い、憲法上の権利義務を有し、社会を構成する社会的実在である。 社会的実在である企業は、災害救助金の寄付、地域社会への金銭的奉仕、各種福祉事業への資金協力など、無償の社会奉仕貢献活動もしている。これらは株主の利益を害するものではない。 企業には参政権はないが、納税の義務を負っているから、納税者の立場からの国の政策に対する意見表明を禁止する理由はない。 企業にも憲法上の権利義務規定が適用されるから、個人と同様に企業は国や政党の特定の政策を支持推進し、または反対するなどの政治的行為をする自由を有する。政治献金もその一環であり、国民の参政権を侵害するものではない。
極めて適正妥当な「最高裁判例」
企業は、経済活動を行い、国民に財・サービスを提供し、国民の雇用を守り、納税を行い、社会奉仕活動を行うなど、資本主義社会における極めて重要な社会的実在である。企業は国の成長発展と国民生活の向上にとって必要不可欠な存在である。