このような企業の重要性を考えれば、企業にも政治献金を含む政治的行為の自由が認められるとの本件最高裁大法廷判例は極めて適正妥当であると言えよう。そのため、50年が経過した現在に至るも判例の変更はないのである。
「企業献金禁止」は共産党の革命戦略だ共産党は党綱領で「社会主義・共産主義社会の実現」を目指す革命政党である。党綱領で共産党は「自民党政府は大企業・財界を代弁して、大企業の利益優先の経済・財政政策を続けてきた」と規定している。
したがって、共産党の目標は、自民党政府の打倒であり、党綱領で規定する「民主連合政府」の樹立である。そのためには、大企業・財界からの自民党に対する「企業献金」を全面禁止し、自民党を財政面から弱体化する必要がある。
共産党の「企業献金全面禁止」の目的はまさに自民党の弱体化による政権奪取すなわち『革命戦略』に他ならないのである。
共産党は機関紙『赤旗』で、企業による自民党への多額の政治献金は見返りを求める賄賂であり、国の政策をゆがめ、国民の参政権を侵害すると断定する(『赤旗』12月2日)。
しかし、上記最高裁判例によれば、企業は無償の社会奉仕貢献活動もしており、納税義務を負う社会的実在として、企業にも憲法上の権利義務規定が適用され政府や政党の特定の政策を支持推進し、または反対する政治的行為の自由があり、その一環としての政治献金の自由も認めているから、政治献金について参政権侵害などの違法性や違憲性はない。
同判例は、政治献金の賄賂性、政策のゆがみ、参政権侵害を一切認めていない。「政策のゆがみ」の有無は最終的には国民が選挙で審判すべき事柄である。
共産党は、関連企業が多額の献金で公共発注を受け利益還元を得ているとか、大企業や財界による多額の政治献金により大企業減税が行われたと断定する(『赤旗』12月7日)。
しかし、政治献金と利益還元との因果関係を証明する証拠はない。また、政治献金と大企業減税との因果関係を証明する証拠もない。大企業減税は政治献金の有無にかかわらず、日本企業の国際競争力強化のためにも必要なのである。