ここで注意すべき点として、アイスフリー・デイとは北極から全ての氷が完全に無くなること(氷がゼロになること)を意味するわけではありません。

気象学的な見方からすると、アイスフリー・デイは「北極の海氷が全部で100万平方キロメートル未満になった場合」と定義されるといいます。

そこで研究チームは今回、大規模な気象データをコンピューターモデルを駆使して、アイスフリー・デイが北極に訪れる日はいつになるかを初めてシミュレーションしました。

ここでは11種類の気候モデルを用いて、北極における2023年〜2100年までの気候変動のシミュレーションを合計で366回試行しています。

その結果、北極に初めてのアイスフリー・デイが訪れる日は予測値に幅があることが示されました。

しかしシミュレーションの大半は7年〜20年以内というかなり短いスパンでアイスフリー・デイが来ると試算しています。

最も日和見的な予測値ですと、2100年になってもアイスフリー・デイは来ないと回答していました。

ところが全シミュレーションのうち9つは、非常にシビアな予測値を弾き出しています。

それらによると、北極最初のアイスフリー・デイは3〜6年に起こると予測していたのです。

これは最短で2027年には北極の海氷面積が100万平方キロメートルを切ってしまうことを意味します。

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アイスフリー・デイは氷が全くのゼロになることを意味しない/ Credit: canva

3年でアイスフリー・デイが起こるシナリオでは、2025年から例年に比べて異常に温かいシーズンが続くことを原因とし、そのパターンが3年連続で続くと、3年目(2027年)の9月までには北極の海氷面積が100万平方キロメートルを切ると試算されました。

それからこの9つのシミュレーションでは、アイスフリー・デイが起こった後は約11日〜53日の間、気象学的に氷のない状態が維持されると推定されています。