苛烈な抑圧と殺戮を続けてきたアサド政権と比べれば、何が取って代わるにしても、まだマシなものになる、といった見方もSNSでかなり見られる。ロシア・ウクライナ戦争の延長線上で、ロシアのメンツを潰してくれる者は全て善である、と言わんばかりの風潮すら見られる。だが、混乱した現在のシリア情勢を、雑駁な善悪二元論で理解しようとすることには、かなり無理がある。
日本政府は、安易な世論の流れに迎合しすぎず、国際法原則を意識し、人道主義の観点から、シリア情勢を見ていく姿勢を堅持しておくべきだろう。
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「篠田英朗国際情勢分析チャンネル」(ニコニコチャンネルプラス)で、月2回の頻度で、国際情勢の分析を行っています。