それに対し、大統領選で第3位に留まり、決選投票に進出できなかった与党社会民主党(PSD)マルチェル・チョラク党首は憲法裁判所の決定を歓迎し、「ロシアの選挙干渉に関する情報を考えると、選挙のやり直しは唯一の正しい決定だ」と述べている。
大統領選挙がやり直しとなったが、次期選挙の日程は未定だ。同国メディアによると、新たな大統領選は来年に入ってからだろうという。クラウス・ヨハニス現大統領は6日、テレビで国民に向かって演説し、「次期大統領が決定するまで暫定的に職務を継続する」と声明している。同大統領の任期は今月21日で終わる予定だった。
ところで、ヨハニス大統領は4日、ジョルジェスク氏の選挙成功がロシア主導のキャンペーンによるものである可能性を示す情報機関の文書を公開している。それによると、ジョルジェスク氏のTikTokでの人気は、選挙直前の2週間で急上昇しており、数千の主にTikTokやTelegramで活動するソーシャルメディアの「スリーパーアカウント」が、彼とそのプロパガンダを大規模に宣伝したためだという。また、選挙予算でもジョルジュスク氏は選挙広告に一銭も使用していないと語っていたが、実際はかなりの資金が投入されていた疑いが出てきている。いずれにしても、やり直し選挙で、ジョルジェスク氏が再出馬できない可能性が出てきている。
なお、ルーマニア大統領は主に儀礼的な役割を担うが、国内では道徳的な権威と見なされており、外交政策にも影響を及ぼす。また、新政権の形成においても重要な役割を果たす。
ルーマニアで1日、議会選挙(定数上院136、下院330)が実施されたばかりだ。ブカレストの同国選挙管理委員会によると、与党「社会民主党」(PSD)が2020年の前回比で約6.5ポイントを減らしたが、得票率約22.5%で第1党を維持した一方、極右政党「ルーマニア統一同盟」(AUR)が前回の9.1%から17.7%とほぼ倍の得票率を獲得して第2位に躍進した。欧州の政治は右傾化してきたが、ルーマニアでも同じ傾向が見られ出しているわけだ。総選挙後の新政権組閣が難航することが予想されている。