さて、寿命の話に戻りますが、人はある程度のlife expectancy(平均余命=どれぐらい生きられるか?)という期待値を持っています。ここで注意したいのは平均ではなく寿命中位年齢(=中央値)で見ることが大切です。平均寿命は病気や事故などで早く亡くなる方も含まれています。それよりも一番多くの方が亡くなる中間値の方が期待値としてはより可能性が高くなります。
日本人の寿命の中央値は男性83.93歳、女性89.96歳です。いわゆる平均と比べおおよそ2.88歳長くなります。では誰でもこの中央値に達成できるかといえばこれがその人が抱えている諸条件によってかなりブレるのであります。その中で結構驚くべき差が生じているのが家族形態です。ある調査によると50歳時点における家族形態ごとの平均寿命は男性の未婚68.2歳、配偶者あり81.2歳、死別87.8歳、女性の未婚84.2歳、配偶者あり78.4歳、死別90.5歳とあります。
これ、正直、統計としてどこまで信用できるのかという疑問がありますが、傾向としては男性の独身はかなり短命、男女とも死別が一番長生きしています。疑問なのは女性の配偶者ありがなぜ未婚より6歳近く短命なのか、これも不思議でコメントできません。
冒頭のブルームバーグが紹介している「AIが教えるあなたの寿命」はThe Death Clockが運営している有料の寿命測定サービスです。現在までに6100万人がサービスを受けたとあります。基本的にAIがその個人情報、国籍、性別、BMI(肥満度体格指数)、性格、アルコールとタバコ、運動やダイエット、ストレスといったエレメント情報から組み合わせ結果を提示するものです。
私はこれにお金を払って試してみたいとは毛頭思わないので、どんな答えが出るのか想像もつきませんが、個人的にはさまざまなエレメントを加味した中央値に近い発想ではないかと思います。というのは個人の既往症や現在治療中の疾病などについて考慮されなけばAIですから平均や中間値以上のもののはないだろうと思うのです。AIは過去のデータをもとに判断しますからこのサービスは個人の疾病など詳細情報に基づいたパーソナルな予見を示すことは社会制度的にできないだろうと推測しています。