空気感染ウイルスに対する高感度のモニタリングは感染症予防に不可欠ですが、現状の手法では超低濃度のウイルスを検出することは困難となっています。
中国の清華大学の研究チームは、新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス(A型、B型)および呼吸器合胞体ウイルス(RSV)について、検出感度が従来と比べて約10倍以上の(10コピー/mL)の統合型マイクロ流体カートリッジを開発しました。
このカートリッジは、400 L/分の高流量エアロゾルサンプラー(ウイルス収集装置)と統合され、空気中のウイルス検出においても、従来と比べ高精度の空間分解能(0.83コピー/m³)を達成しています。
また、同チームはM-RIAMs、S-RIAMs、R-RIAMsという3つのエアロゾルのモニタリングシステムを開発し、それぞれ異なる用途シナリオに適用しています。
これらのシステムを使用した実際の環境下での評価により、エアロゾル中のウイルスモニタリングが空気感染の対策に有効であることが確認されました。
RIAMシステムは、空気中のウイルス感染防止に大きく役立つと期待されています。
この研究の詳細は、2024年10月10日付の『Nature Communications』に掲載されています。
目次
- 高感度のウイルス検出システムとは
- エアロゾル監視のRIAMシステムとは
- RIAMシステムは空気感染の救世主となるか
高感度のウイルス検出システムとは
空気感染するウイルスのモニタリングは、感染症対策の鍵を握っていますが、特に超低濃度でのウイルス検出は依然として難しい課題となっています。
そんな中、清華大学の研究チームが新たな技術を開発しました。
それは、新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス(A型・B型)、そして呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対して、10コピー/mLという優れた検出感度を有するマイクロ流体カートリッジを搭載したモニタリングシステムです。