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サラサラの砂を水の中に入れると粘土のようにくっつき、水から出すとまたサラサラの砂に戻ってしまう。

この不思議な物質は、化学的には疎水性砂と呼ばれるもので、一般にはおもちゃとして「魔法の砂(Magic-Sand)」という名前で販売もされているものです。

疑問のは、なぜこの砂は普通の砂とは違って濡れることがなく、水中では塊になるのかという点でしょう。

なぜこんな事が起きるのか? 今回はこの変わった化学的な性質について解説します。

目次

  • 水が嫌い!マジックサンドとは?
  • マジックサンドが水に入れるとくっつく理由

水が嫌い!マジックサンドとは?

キネティックサンド(英語ではHydrophobic Sand)、あるいはマジックサンドと呼ばれるこのサラサラの砂は、ただのビーチにある砂なのですが、表面に疎水コーティングというものが施されています。

大抵はこの疎水コーティングは、トリメチルシラノールという物質で行われます。

トリメチルシラノールの分子構造
トリメチルシラノールの分子構造 / Credit:Wikimedia Commons

疎水性というのは、水を嫌う性質のことを指します。

通常の砂は、親水性です。

親水性というのは、水分子の水素と結びつきやすく、物質を構成する原子が水分子とくっついてしまう性質をいいます。

簡単に言うなら、水と仲良くなれる性質だと思ってもらえばいいでしょう。

いわゆる濡れるという状態は、この水分子と物質が結びついた状態を指します。

砂が濡れるとくっつくの水の分子間力によるもの
砂が濡れるとくっつくの水の分子間力によるもの / Credit:canva

誰もが子供の頃、遊んぶように砂は濡れるとくっつきますが、これは砂の粒子を形成しているシリカと結びついた水分子が糊のような役割を担って、砂粒同士を引き付けるためです。

水には表面張力という力が働いていますが、これも濡れた物質同士がくっつくのを助けています。