動物による自然災害予知「シチリア島とアブルッツォ山脈の事例」

 タグ付けされた動物を研究することの価値は、シチリア島のエトナ山で行われた初期の実験ですでに示されているという。「ヤギの行動は、大規模な火山噴火の予測に非常に役立つことが分かった」とヴィケルスキー氏は述べている。センサーは、噴火前に動物が神経質になり、通常であれば喜んで訪れる高地の牧草地へ移動を拒否することを示した。「彼らは何が起こるかを事前に知っている。どのようにしてそれを知っているのかは分からないが、彼らは知っている」とヴィケルスキー氏は言う。

 同様に研究者たちはローマ郊外のアブルッツォ山脈で犬、羊、その他の家畜を監視し、過去12年間の8つの主要な地震のうち7つを予測するような反応を示したことを発見した。地震や噴火の前に動物が奇妙な行動をするという話は新しくない。ギリシャの歴史家ツキディデスは、紀元前373年に地震がヘリケ市を襲う直前、ネズミ、犬、ヘビ、イタチが街を捨てたと主張した。1975年の中国の海城地震は、ヘビやネズミが巣穴から出ていくのが目撃された後に発生した。

 なぜこれらの動物がこのように行動するのかはあまり明確ではない。「地震が発生する前には、莫大な圧力の下で地殻プレートが互いに滑り合い、岩からイオンが空気中に放出される。動物はそれに反応しているのかもしれない」と、世界中の科学者チームが参加する国際協力組織、宇宙利用動物研究国際協力(Icarus)の創設者であるヴィケルスキー氏は語る。

動物は“地震や噴火を予知”できるか?宇宙からの監視で自然現象の予兆を読み解く試み
(画像=TumisuによるPixabayからの画像、『TOCANA』より 引用)