「大手メディアは世論をミスリード」
百条委員会の運営の問題点について、兵庫県議会議員で百条委員会メンバーの増山誠氏に聞いた。
「事実を解明するためには、元県民局長が告発文書を作成した公用パソコン内に保管されたデータ(プライバシー情報を除く)と、県の人事課によって計5~6回行われた元県民局長への事情聴取に関する資料が必要不可欠であり、私は百条委員会の理事会に資料を請求しましたが、却下されています。この公用パソコンのデータの問題については、10月25日に行われた片山安孝前副知事への尋問でも、片山氏が発言を行おうとしただけで、奥谷委員長が一方的に制止して進行を一時中断させており、これは不可解です。
元県民局長による告発をめぐる斎藤知事の対応が公益通報者保護法違反に当たるのかどうかという議題について、委員会は9月に山口利昭弁護士を招致しましたが、私は両論の見地から議論するために山口弁護士とは反対の見解を持つ専門家の招致を理事会に提案しましたが、『議論がブレるから』という意見があり、これでは『斎藤知事に問題があった』という結論ありきの運営と受け取られても仕方ありません。このほか、非公開で行われた理事会の議論の内容が翌日にはメディアで報じられるということが続いており、理事会の誰かが情報をマスコミにリークしている可能性があります。以上を踏まえると、私は百条委員会の運営の公正性に問題があると考えています」
8月、県職員を対象に行われたアンケートで回答者の約4割が知事のパワハラを見聞きしたと回答したとメディアで大きく報じられ、結果的に斎藤知事の失職への流れが強まったが、このアンケートの実施方法にも問題があったと増山議員はいう。
「この職員アンケートはURLを知っていれば誰でも何度でも回答できる仕様になっていたことが確認できています。斎藤知事の問題行為だとして明らかにデマの同じ内容を複数の人が投稿しているものもあり、百条委員会の尋問でもその内容に基づいた質問が出て、それが事実ではないことが確認されるという現象も起きています。また、アンケート回答のなかで実際に本人が斎藤知事の問題行為を直接見聞したというものは全体の2%ほどであり、そのなかには他の議員や職員のパワハラに関する内容のものが混ざっています。現役職員の大半の方々は真面目にアンケートに回答していたと思われますが、一部の県職員OBが主導して口裏を合わせるかたちで多くの投稿が行われていた可能性も否定できず、この職員アンケートの結果が公正性・信憑性に欠けるものであり、それに乗っかって斎藤知事批判を展開したテレビをはじめとする大手メディアは世論をミスリードしてしまったと感じます」
前述のとおり、今回の百条委員会は県議会の最大会派である自民党、立憲民主党の議員が設置を求める動議を提案して可決されたもので、奥谷委員長も自民党所属だが、今年3月頃から始まった斎藤知事への批判そのものが、政治的な思惑によってつくられたものだという見方も強まっている。
「ひとつは、決定していた建設費1000億円の新庁舎建設を斎藤知事が白紙撤回すると表明したことに、自民党の県議が大きく反発したこと。もう一つは、県幹部の天下りポストである外郭団体役員に対して、65歳定年という内規を厳格に運用する方針を示したことに、一部の幹部OBたちが反発したこと。この2つが引き金となり、斎藤知事降ろしのバッシングが始まったとみています」(増山議員)