実験では、この光る木材は560nmの波長の光を放っており、最大10日間光り続けました。
そして気になるのは、「菌が木材のリグニンを分解する」という点です。
研究チームがこの点も観察と分析を行ったところ、確かにバルサ材内部のリグニンは分解されていきました。
リグニンは植物の剛性と安定性を担っているため、光る木材の強度の劣化が気になるところです。
しかし研究チームは、セルロース(植物繊維の主成分)は分解されずに残るため、「木材全体の安定性は低下しない」と主張しています。
リグニンが分解されたとしても、他の成分により、木材としての強度をある程度保つことができるのでしょう。
今回の研究では、木材と菌類の組み合わせにより、人工的に光る木材を作り出すことに成功しています。
ただこれは実験段階の話であり実用にはまだ遠く、研究チームは今後、光る木材の強度と寿命を高めていきたいと考えています。
こうした研究が上手くいくなら、将来、「暗闇で光る机や椅子」「道筋を照らす木造フェンス」などオシャレで不思議なアイテムを作ることができるかもしれません。
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参考文献
How to make wood glow
https://www.empa.ch/web/s604/eq86-leuchtholz
Glow-in-the-dark wood passively lights homes or parks
https://newatlas.com/materials/glow-in-the-dark-wood/
元論文
Taming the Production of Bioluminescent Wood Using the White Rot Fungus Desarmillaria Tabescens
https://doi.org/10.1002/advs.202403215