ボール運搬力が高いジェジエウと三浦を丸山の両脇に並べたことで、川崎は左右どちらからでもビルドアップを円滑に行えるように。特にこの試合では、左サイドバックとして先発した三浦の推進力が際立っており、山東は同選手のボール運搬を止めるための対策を持ち合わせていなかった。


三浦颯太 写真:Getty Images

「彼の推進力は抜群」

鬼木監督は試合後の会見で、筆者の質問に回答。幾度となく自陣からボールを運び、攻撃の起点となっていた三浦のプレーぶりを称えている。

ー三浦選手のパフォーマンスについてお伺いします。彼がビルドアップの時にタッチライン際ではなく、その内側にポジションをとっており、そこからの攻め上がりが効果的だったように見えました。三浦選手をあの位置でビルドアップに関わらせることに、どんな狙いがあったのか。また、監督から三浦選手への評価もお伺いしたいです。

「ビルドアップの安定感を持たせるために、(三浦に)あそこのポジションをとらせています。これはチームのやり方としてそういう形にしています。彼の推進力というのは抜群です。後ろからでもオーバーラップをかけられたりとか、今日の(ボールの)持ち出しとか非常に良いプレーも多かったですし、クロスに行く回数も増えていたので、低い位置からでも何回もやることを今後をやっていけば、彼のストロング(特長)がどんどん出てくるのかなと思います」

2024シーズン序盤はビルドアップ時の三浦の立ち位置が定まらず、それゆえ川崎のパスワークが淀む場面が散見されたものの、同選手がタッチライン際だけでなくその内側でも存在感を示せるようになったことで、同クラブの攻撃のバリエーションが広がっている。これはクラブ史上初のアジア制覇を狙う川崎にとってポジティブな要素だ。

チョン・ソンリョン 写真:Getty Images

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