海外では減少傾向にある中、日本では増加

世界的な傾向としては、仮想通貨を利用した違法活動の総額は減少しているという報告もある。2024年のChainalysisの報告によれば、世界全体で仮想通貨を用いた違法取引額は19.6%減少したという。

一方で、日本では仮想通貨を利用した詐欺の被害がより深刻化している。警察庁のデータによると2023年には19,038件の詐欺事件が報告され、その被害総額は4526億円に達した。特に投資詐欺や国際ロマンス詐欺に代表される、SNSやオンラインプラットフォームを利用した新しい詐欺手法が急増しているのが特徴的である。

投資詐欺では偽の有名人アカウントを使い、被害者を虚偽の投資スキームに誘導するケースが増加。一方の国際ロマンス詐欺は、主にオンライン上のSNSやマッチングアプリで恋愛感情を利用して被害者をだまし、金銭を詐取する手口である。犯人は偽のプロフィールや写真を使って信頼関係を築いた後、緊急の資金援助や贈り物を理由に送金を要求するというもので、近年は送金に仮想通貨が指定されるケースが急増している。

日本では2024年の最初の8か月間でこうした詐欺の件数と被害額は前年を大きく上回っており、仮想通貨市場の急速な成長が悪用されていることが伺える。