筋が通っていない三菱UFJ銀行の対応
金融業界では野村や三菱UFJ銀行だけでなく、職員による不正行為が相次いでいる。10月には金融庁に出向中の裁判官が業務で知った企業の内部情報をもとに株取引を繰り返すインサイダー取引を行っていた疑いで、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反容疑で調査を行っていることが発覚。同月には、東京証券取引所の社員が未公表のTOB(株式公開買い付け)情報を公表前に親族に伝え、親族が不正に株取引を行っていたとして監視委が調査をしていることが明らかとなった。金融業界でこうした不正は増えているのか。
「以前と比べて金融機関の職員による重大な犯罪・不正行為は増えているという印象があります。まず、業務の効率化に伴い一支店あたりの人員は減少して一人当たりの業務量が増えており、加えて中途採用で入行してくる人も増え、転職がより当たり前になっているため、一人ひとりの行員の銀行への帰属意識が薄れてモラルが低下しているという背景があると感じます。大手銀行の利益が過去最高水準になっている今、金利も上昇して稼げる環境ができつつあり、銀行で働く行員の業務はますます忙しくなっていくでしょうから、不正行為が発生する余地が大きくなりつつあるといえるのではないでしょうか。銀行の業務ルールや検査は基本的には性善説に立っており、その抜け道をつくような不正が増えれば、ルールを大きく見直す必要も出てくるかもしれません」(金融ジャーナリストの森岡英樹氏/11月25日付当サイト記事より)
今回の野村の会見を受け、三菱UFJ銀行の対応に批判が広まっている。同行は今後の対応策として、「事案発覚直後に直ちに対策本部を設置し、事案の全容解明に向けた調査とともに、なぜこのような事案を未然防止できなかったのかの原因究明を進めています。今後、お客さまへの被害補償、真因分析に基づく再発防止に向けた取り組みなどの検討も速やかに進めてまいります」と説明しているが、メガバンク行員はいう。
「店舗内部から行員が数年間で複数回にわたり顧客の資産を盗んでいたわけなので、行員の管理・監督上の瑕疵、銀行内の業務管理・プロセスの不備が原因ということになります。野村証券の役員へのペナルティーを考慮すれば、三菱UFJ銀行で事実上“誰も処分を受けない”というのは筋が通らないと批判されても仕方ないでしょう。ただ、野村は証券業界トップとはいえ証券は金融業界のヒエラルキー的には銀行の下であり、国内トップバンクである三菱UFJ銀行の役員が会見などで頭を下げて報酬返上まで行うというのは、よほどのことがないとしないでしょう」
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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