2024年は「選挙のスーパー年」だったこともあって、欧州でも欧州議会選、総選挙が次々と実施された。当方が担当する地域だけでもブルガリアやルーマニアで大統領選と議会選が行われたが、選挙後の政情はその前より不安定を増してきている。
ジョージア(前グルジア)では過去1週間、欧州連合(EU)への加盟を支持する国民による抗議デモが続いている。フランスでは内閣不信任が可決されたことで政情は混とん。「欧州の盟主」ドイツでは3党連立政権のショルツ政権が崩壊し、来年2月23にに早期総選挙の実施が決まったばかりだ。欧州では右派傾向が進み、欧州議会選でも極右勢力が勢力を伸ばした。ドイツでは極右「ドイツのために選択肢」(AfD)が伸び、オーストリアでは「自由党」が9月末の議会選でついに第1党に躍進したばかりだ。
それだけではない。欧州ではギリシャなどを除くと、いずれも国民経済が厳しく、欧州経済の原動力となるべきドイツ経済はリセッションから立ち直れずに苦労している。特に、輸出大国ドイツのカギを握ってきた自動車産業が中国市場の停滞、電気自動車(EV)への切り替えが遅れたこともあって、収益を大きく失った。フォルクスワーゲン社は工場閉鎖、生産一部停止まで追い込まれている、といった状況だ(「大変動期に突入した独自動車産業界」2024年11月4日参考)。
世界の政治、経済の行方を握る米大統領選ではトランプ氏が再選された。再選後、トランプ氏は‘アメリカ・ファースト’を実行に移し、米国に入る輸入品に対して特別関税をつけるなど、保護貿易指向を強めている。来年1月20日のトランプ氏の就任式を前に、第2期トランプ政権への対応のため世界は躍起となっている。
そのような中、韓国で3日、尹大統領が突然戒厳令を布告したが、その6時間後、戒厳令の撤回といったドタバタ劇を演じ、韓国のイメージを傷つけたばかりだ。韓国の6時間戒厳令のニュースを聞いて、当方は「韓国、お前もか」といった嘆きが飛び出してきた。