では化学反応ではなく物理現象というのは、どういうことなのでしょうか?
化学反応は、物質に含まれる分子同士が結びついて分子構造が変化することで起こります。もしメントスコーラが化学反応の場合、何らかの成分同士が結びついて大量の二酸化炭素を発生させ、それが勢いよく吹き出さなければなりません。
しかし実験してみるとわかりますが、コーラに入れたメントスはあまりコーラの中で溶けていません。
またメントスと似た成分のフリスクなどを使ってみても、メントスコーラのような激しい噴射はおこりません。
重要なのはメントスの成分ではなく、メントスが持つ表面構造なのです。そのためメントスの味などもこの現象には特に影響しません。
メントスの表面を顕微鏡で見ると、非常に細かい凸凹とした突起に覆われており、多孔質構造を持っています。
この微細な凸凹を持つメントスの荒い表面が、コーラに溶けた炭酸ガスを刺激して、大量に気泡を生成させているのです。
炭酸ガスの溶けた溶液では、傷や突起がある場所で気泡が生成されやすくなります。
シャンパングラスには気泡の柱がきれいに立ち上るように、わざとグラスの底に傷が付けられているという話を聞いたことはないでしょうか。
これはよく知られている事実で、凹凸のある表面では、炭酸飲料の二酸化炭素が離脱しやすくなるのです。
では、なぜ凸凹した荒い表面上で気泡が生まれやすくなるのでしょうか?
メントスコーラの秘密は表面張力の弱体化
コーラなどの炭酸飲料には、二酸化炭素(炭酸ガス)が圧力によって溶け込ませてあります。
そしてこの状態を支えているのが、液体の持つ表面張力です。