嫌味タップリの筆致だが、ぐうの音も出ない真実だ。
比較対象として、試合数が違い過ぎるプロ野球(NPB)やメジャーリーグ(MLB)、バスケットボールのBリーグ、さらには世界中に放映権料を売ることができるほどの競技クオリティーを誇るイングランドのプレミアリーグやドイツのブンデスリーガを引き合いに出している点には“ズルさ”も感じさせるものの、実際にクラブ運営に携わった企業から出されたレポートだ。説得力が違う。
さらに、スポンサー企業と自治体に依存したビジネスモデルを批判的に突いた上で、DAZNとの長期大型契約のデメリットを指摘し、放映権料を現在の7倍の1クラブ20億円ほどに引き上げ、アジアのマーケットを開拓せよと提案している。ほぼ不可能な提案に思えるが、そこまでJリーグは追い込まれているのだ。
改めて「Jリーグは誰のものか」
そして最後には「現時点でのJリーグはチーム名に企業名も出せない親会社の資金により運営され、自治体によって建設された競技場を安価で使用し、身の丈に合わない選手報酬を支払って運営されている。プロスポーツビジネスとしては成り立っておらず、宣伝媒体としても機能していない状態」とトドメを刺して、レポートを締めている。
“たられば”の話になるが、もし創立当初からチーム名に企業名を入れることを認めていれば、税制上の優遇も得られ、より多くの資金を集めることが可能だったのではないか。フリューゲルスも存続可能だったのではなかったかという思いが頭をもたげる。今となっては、川淵氏の理想論より、渡邉氏の主張の方が正しかったと認めざるを得ないのだ。
外資系企業によるクラブ買収が可能となり、レッドブルという“黒船”が上陸したことで、「企業名禁止」という巨大な山が動く可能性が出てきた。もしそうなれば、レッドブルが大宮アルディージャ買収に使った3億円(累積債務は除く)など、すぐにでも回収できるだろう。ちなみに2025年1月からの大宮のチーム名は「Red Bull」ではなく、ドイツ語の「Rasen Ballsport(芝生の球技)」の略称である「RB」を加えて「RB大宮アルディージャ」と発表された。