野党DPを率いる李在明氏は、尹大統領の行動を憲法違反と非難。国民に戒厳令反対の戦いへの参加を呼びかけた。一方、与党PPPのハン・ドンフン党首も、大統領の決定を「誤り」と批判し、阻止する意向を表明していた。野党が過半数を占める国会は全会一致で戒厳令の撤回を求めた。戒厳令解除後、尹大統領は国内で大きな政治的圧力を受けている。最大野党DPは大統領の即時辞任を要求。辞任しない場合、弾劾手続きを直ちに開始すると発表したのだ。
今回の事態に北朝鮮が関与した証拠はない。しかし、朝鮮半島の情勢は緊迫している。韓国は1950年に始まった朝鮮戦争以来、いまだに「戦時下」にある。1953年に停戦協定が結ばれたものの、平和条約は締結されていない。2022年のロシアによるウクライナ侵攻が影響を与え、朝鮮半島の緊張は再度高まっている。北朝鮮はロシアとの関係を強化し、ロシアに軍事的な支援を提供している。北朝鮮側は最近、韓国を憲法上「敵対国家」と明記し、軍事的対決への準備を強化する方針を打ち出している。なお、米国は「法の支配に基づいた解決」を求め、戒厳令の解除を歓迎している。
韓国の「6時間の戒厳令」は、親北勢力が牛耳っている国会での審議妨害に激怒した尹大統領の勇み足といった印象を受ける。親北勢力は尹大統領の勇み足をここぞとばかり利用して大統領弾劾へ突き進むだろう。尹大統領が弾劾された場合、朴槿恵大統領に次いで保守派大統領が2代続けて野党勢力によって弾劾されるという不名誉な結果となる。
いずれにしても、核武装化し、軍事侵略を狙う北朝鮮の脅威を矮小化する韓国内の親北勢力は危険な存在だ。韓国の「6時間の戒厳令」の核心は本来、国会での単なる野党対策ではないはずだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年12月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。