「ツァイト」誌オンラインは4日、韓国の「6時間の政変」についてかなり長文の解説記事を発信している。事の始めは野党との国家予算を巡る争いだった。保守系与党「国民の力(PPP)」と最大野党「共に民主党(DP)」の間で翌年の予算案を巡る対立が激化していた。野党議員らは、予算案を審議する国会委員会で、政府案を大幅に削減した簡素化された予算案のみを承認した。尹大統領はその後、戒厳令を布告したのだ。尹大統領は戒厳令を布告する劇的な措置について「国家の敵対勢力からの保護」と説明している。それについて、「ツァイト」誌は「この行動は尹大統領自身の権力維持にも役立つものだったと思われる。一体、彼は何を語ったのか?また、北朝鮮とどう関係があるのか」等々の8つの質問を箇条書きに提示している。
尹大統領は、テレビ局YTNで事前告知のない演説を行い、「野党が北朝鮮に同調し、国家を敵対的活動によって麻痺させている」と非難し、「北朝鮮の共産主義勢力の脅威から国を守り、憎むべき親北反国家勢力を一掃するために戒厳令を布告する」と述べ、「自由と憲法秩序を守るためにこの措置を取らざるを得なかった」と主張している。
同大統領は国会を「犯罪者の避難所」と呼び、司法・行政制度を麻痺させて自由民主主義秩序を転覆しようとする「立法独裁の温床」と非難。野党が国家の主要業務に必要な予算を削減し、「公共の安全が混乱状態に陥っている」と指摘している。また、「野党は閣僚やその他の高官に対する弾劾案を提出することで、政府運営を妨害している。2022年5月の就任以来、国会は22件の弾劾案を提出しており、これは世界的にも前例のないことだ」と述べている。
戒厳令布告後、首都ソウルの国会議事堂は封鎖され、ヘリコプターが議事堂の屋根に着陸する様子がテレビで放映された。また、戒厳令司令部の司令官パク・アンス氏は、すべての政治活動を禁止し、メディアを政府が監視すると発表。「国会や地方議会、政党や政治団体の活動、集会やデモを含むすべての政治活動は厳しく禁止される」と述べ、メディアと出版物も戒厳令司令部の管理下に置かれるとした。しかし、その数時間後、国会は全会一致で戒厳令の撤回を要求。尹大統領はこれを受け、テレビで戒厳令を解除すると表明。「国会の要請に応じて、閣議で戒厳令を解除する」と述べると、集まった抗議者たちはこの発表に歓喜した。以上、6時間の戒厳令の経緯だ(ロイター、AFP、DPA、APなどの外電をまとめた)。