■クマを撃退した例
逃げるのも、死んだふりもダメならば、どうすれば良いのか? 果敢にもクマと一戦交えることで撃退に成功した事例もある。
2016年9月1日、群馬県長野原町の川で釣りをしていた男性(63)が、体長2mほどのツキノワグマに襲われた。しかし男性は空手の有段者だったため、「目つぶし」の技でクマを撃退したという。また、1999年10月18日に岩手県安代町姥子石の山林で、73歳の男性がキノコ採りの帰りにツキノワグマに背後から襲われた。男性は振り向きざまにクマを「ともえ投げ」で投げ飛ばし、かすり傷で済んだという。男性は格闘技の経験者ではないが、相撲や柔道のテレビ観戦が好きで、柔道の技を見よう見まねで習得していたようだ。
米国カリフォルニア州では、2021年6月に自宅庭に出現したヒグマを飼い犬たちが威嚇するが退散せず、見かねた17歳の少女が素手で叩いて撃退した例もあるようで、その様子はYouTubeで確認できる。ブロック塀に乗っていたヒグマを手で押して落としているが、無謀とも思える行動は、飼い犬を助けたいという一心からのものだったに違いない。
だが、もちろんこのような事例は特別なもので、大変な危険を伴う。クマにスイッチが入り、反撃されることがあれば無傷では済まないと思われるため、もちろん真似することは絶対に勧められない。では、結局のところどうしたら良いのか。