春になりクマが冬眠から目覚め、繁殖期を迎える6月以降になると、各地でエサを探し回るクマの出没が相次ぐ。特に北海道や東北での目撃や襲撃事例が目立つようだ。襲われた人が命を落とす場合も少なくない。しかし、ちょっとしたノウハウやツールがあれば、クマに遭遇しても襲われないのだ。以下、詳しく解説する。

■逃げてはダメ!

 冬眠から目覚め、繁殖期(6~7月)、端境期(8~9月)を迎えた夏季のクマは、エサを求めて活発に動き回る。クマに襲われた報道を見るたびに筆者は考える。「逃げ回るのではなく、クマの習性を知り、機転を利かせて回避する手段があるのではないか?」と。

 実は、クマと遭遇したからといって、後ろを振り返って一目散に逃げるという選択肢は賢明ではない。肉食動物の本能として追いかけてくるからだ。クマは時速50キロ以上で走る。「世界最速の人類」と呼ばれたジャマイカの短距離走者ウサイン・ボルトでさえ、その速さは時速45キロなのだ。誰もクマには敵わない。

 では、どうすれば良いのだろうか。もともとクマはおとなしく臆病な動物で、自分から好んで人や他の動物に接近したり襲うことは少ないとされる。たとえば、逃げ場がない狭い場所で人間に遭遇し、自分の身に危険が及ぶと判断した時に相手に襲いかかるのだ。また「クマに遭ったら死んだふりをしろ」とよくいわれるが、これも危険な行為だと警告する専門家がいる。死んだふりは絶対に駄目で「餌だと思われ、かまれたり、引っかかれたりして大けがをする」という。