頭部損傷による記憶喪失は、映画やドラマなどでしばしばみられます。
交通事故などで記憶を失ってしまった恋人に、どう接したらいいか葛藤する場面は、切なさを感じさせずにはいられません。
しかし近年の研究により、頭部損傷による記憶喪失は事故のような大イベントによらずとも、身近なスポーツでも発生することが明らかになってきました。
たとえばヘディングを多用するサッカー選手やアメリカンフットボールの選手が試合中に経験する頭部への軽い衝撃も、慢性認知症や記憶障害を引き起こすことがわかってきました。
しかしこのような「脳震盪未満」の衝撃がどのようにして記憶障害を引き起こすのか、そして失われた記憶を回復させることができるのかは、十分にわかっていません。
映画やドラマなどでは、脳を活性化させるような「劇的な場面」で記憶を取り戻すようなシーンが描かれていますが、果たしてそのような手段で記憶回復が起こり得るものなのでしょうか?
そこでジョージタウン大学の研究者たちは、マウスに対して繰り返し頭部に打撃を与える記憶喪失実験を行い、その後マウスの脳を強制的に活性化させることにしました。
今回もまず実験全体を4コマで示しつつ、その後に詳細なメカニズムの紹介を行いたいと思います。
頭部打撃による記憶喪失は回復するのか?
記憶喪失はニューロンの死による取り返しがつかないものなのか?