難民にドイツ語を教えている女性によると、ウクライナ人は教育レベルの高い人が多く、ドイツ語学習でも他の生徒より意欲的だという。
ウィーンに到着したウクライナ人女性たちは「難民」とはかけ離れた自己イメージをもっている。彼女らは、地理的および文化的にオーストリアに近いことを強調し、アラブや北アフリカ出身の難民に対して否定的な態度を示すことがあるという。
インタビューを受けたウクライナの女性たちは、極貧であると言われる他国からの難民と区別し、「自分たちは貧しい人間ではないこと、興味深い職業や私生活の計画を持っていたこと、または戦争が起きなかったら休暇でオーストリアに来ることを計画していたこと」などを強調するという。
季刊誌の特集の中で、駐オーストリアのウクライナ大使ヴァシー・ヒミネツ氏はウクライナからの避難民を受け入れてくれるオーストリア国民に感謝し、「欧州の共通の価値観は良き共存の土台だ」と述べている。
ウクライナ人のオーストリア社会への統合度は他の中東・北アフリカからの難民と比較すると優秀だ。ウクライナは正教圏に属するから、西欧社会のキリスト教社会とは同じ文化圏だ。それだけにウクライナ人のオーストリア社会への統合は、イスラム教圏の中東のシリアやアフガニスタンからの難民よりは容易な面があるだろう。若く、学習欲、労働意欲のある避難民ウクライナ人の存在はホスト国オーストリアにとって恵みともいえる。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年12月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。