避難民でオーストリアに来たウクライナ人の75%は大学卒業者だ。ウクライナ人の3人に2人はOIFの統合検査で言語力がA2からB1のレベルだ。ドイツ語ができるようになり、仕事が見つかると、オーストリアで住むことを希望し、帰国したいという思いは薄れていく傾向が見られる。
現在、ウクライナ女性の42.6%は就労している。2022年はその数は10%以下だった。2024年現在の就労先をみると、清掃分野23.0%、商売14.1%、健康看護12.3%、教育10.7%、レストランなど9.1%、営業8.9%、社会7.5%、生産分野6.4%、事務仕事5.0%だ。避難民のウクライナ人は自身の本来の能力が発揮できる職場ではなくても早く働きたいという希望が強い。
住居問題では、2024年、3人に2人のウクライナ人は独自の借家に住んでいる。前年の23年では、その割合が48%だった。他者のプライベートの家に住んでいるウクライナ人は2%に過ぎない。
オーストリアでは冷戦時代、旧ソ連・東欧の共産国から約200万人の亡命者が収容された。2015年の中東・北アフリカからの難民殺到時にも多くの難民が同国で収容されてきた。ウクライナ人の場合、彼らは自分たちは難民ではない。避難民だと主張し、アラブ圏からの難民と同列視されることを嫌悪する傾向がある。
ちなみに、ウィーン大学の研究プロジェクトは2022年、ウクライナから避難してきたウクライナ人女性33人と非政府機関(NGO)支援関係者を対象にインタビューをし、ウクライナ人女性が自分自身や他人をどのように認識しているかについて調査した。その結果、ウクライナ人女性には、①都市に住みたいという強い願望、②自分を難民と認識したくない願いがあることが分かった。
ウクライナ人女性の難民の大多数はウィーンに住みたいと考えている。その理由として、より良いインフラ、教育、医療、専門的な機会、特に子供たちのための教育、レジャー、スポーツの機会が多いことなどが挙げられている(「ウクライナ人『私たちは難民ではない』」2022年12月12日参考)。