唐突感が否めなかったのが韓国の尹錫悦大統領の非常戒厳宣言。その布告令第1号が発表され日本語訳を読む限り、すべての韓国人にとって「一夜明けずして全然違う世界」と言ってもよいのでしょう。
非常戒厳の布告令第1号は6条からなっており、その要旨は以下の通りです。
国会と地方議会、政党の活動と政治的結社、集会、デモなど一切の政治活動の禁止 自由民主主義体制の否定、転覆、フェイクニュース、世論操作、虚偽扇動の禁止 すべてのメディアと出版は戒厳令によって管理 社会混乱を助長するストライキ、怠業、集会行為の禁止 すべての医療関係者は、48時間以内に本業に復帰、勤務。違反時は戒厳法によって処罰 体制に従順な善良な一般国民は、日常生活に不便を最小化できるように措置す
以上に対し違反者は、大韓民国戒厳法第9条(戒厳司令官特別措置権)により令状なしに逮捕・拘禁・押収捜索ができ、戒厳法第14条(罰則)により処罰。
これ、日本人からすれば戦前の話のような極めて厳しい戒厳措置に見えます。ましてや政治活動の禁止となれば議論をさせないので一種の軍国国家のような硬直型国家運営を当面行いたいということでしょう。医療関係者へのくだりは医療関係者のストライキが長く継続し、医療活動に大いなる支障が起きているためです。
これを受け韓国国会は4日未明に決議を行い、非常戒厳の解除要求決議案を可決させています。憲法の規定により大統領は戒厳を宣布できるものの国会で過半数を持って解除を支持した場合、解除せざるを得ないとあります。また尹大統領はその判断を尊重し、戒厳を解除しています。ただ、本件予断を許さない状況でまだこの行方は何処に行くともわからない状態です。
尹大統領が焦った背景は何なのでしょうか?
この戒厳宣言、実は夏の終わりごろから噂はあったようで与野党のトップ同士が「そんな噂を耳にするが…」に対して「まさかそれはないよね」で流していたとされます。大統領府もその噂をもちろん一蹴。しかし、火のない所に煙は立たぬわけでなぜその頃からそんな噂があったのでしょうか?いくつかの要因の組み合わせではないかと思います。