それから栄養豊富な臓器を狙って食べていると考えられます。
特にジンベエザメの肝臓は栄養が豊富に貯まっている場所ですが、まだシャチ一族が肝臓を食べたシーンは捉えられていません。
かの有名な南アの殺し屋シャチコンビもホオジロザメの肝臓を狙うことが知られています。
シャチの「殺し屋コンビ」が南アのホオジロザメを次々と殺しまくっている
この一貫したジンベエザメ狩りの手法から、研究者らは「このシャチ集団が他の海域では見られない独自の狩猟戦略を形成し、伝承している点で驚くべき発見である」と指摘しました。
しかし、シャチはそもそも海で敵なしの最強ハンターであり、ホオジロザメはおろか、地球最大の生物・シロナガスクジラまでも襲って食べる事例が確認されています。
しかもジンベエザメはホオジロザメと違って大人しく、動きものろいので、世界最大の魚類といえども、襲いやすいといえば襲いやすいターゲットです。
では、なぜカリフォルニア湾のシャチ一族だけがジンベエザメ狩りをし、他の海域のシャチ集団はジンベエザメを狩らないのでしょうか?
シャチ一族だけがジンベエザメを狩れる理由
この疑問の最大の要因は、シャチとジンベエザメの生息環境の違いにあります。
シャチは広範囲の海洋環境に適応していますが、水温の低い冷水域を拠点とするのが一般的です。
それに対して、ジンベエザメは熱帯〜亜熱帯の暖かい海を好み、そこで繁殖するプランクトンなどを大量に呑み込んで濾過(ろか)摂食しています。
つまり、シャチは冷たい海に、ジンベエザメは暖かい海に住んでいるから、基本的には両者は遭遇せず、食べる・食べられるの関係にはならないのです。
これがほとんどのシャチにジンベエザメ狩りが見られない理由の答えとなります。