現状、世界で唯一「ジンベエザメ狩りの秘術」を伝承するシャチ一族がいたようです。
メキシコ国立工科大学 (IPN)はこのほど、米カリフォルニア湾を拠点とするシャチ集団の一派が、世界最大の魚類・ジンベエザメを何度も狩りする様子を捉えたと発表しました。
世界広しといえど、ジンベエザメ狩りの慣習をもつシャチ集団は他に確認されていません。
なぜこのシャチ一族だけがジンベエザメを狩るのでしょうか?
研究の詳細は2024年11月29日付で科学雑誌『Frontiers in Marine Science』に掲載されています。
目次
- ジンベエザメ狩りをする世界唯一のシャチ一族
- 一族に伝わる「ジンベエザメ狩り」の秘術のやり方とは?
- シャチ一族だけがジンベエザメを狩れる理由
ジンベエザメ狩りをする世界唯一のシャチ一族
シャチ(学名:Orcinus orca)は生物学的にすべて同じ一種にまとめられますが、住んでいる海域や習性によって幾つかのタイプに分けられます。
例えば、食性の違いで分けると、小型クジラやアザラシなどを海洋哺乳類を食べるタイプ、ペンギンと魚類を食べるタイプ、シャケだけを食べるタイプなどがいます。
また生息域の違いでも、海岸付近に住むタイプや沖合に住むタイプ、海域を移動しながら暮らすタイプがあります。
シャチはこうしたタイプごとに確固とした集団を形成しており、他のシャチ集団と出くわしても言葉を交わすこともなければ、交流することもありません。
まるで人間のように、それぞれの集団ごとの独自のルールや文化を継承しながら暮らしているのです。
そして今回、ジンベエザメ狩りの秘術が確認されたのは、北アメリカ大陸とバハ・カリフォルニア半島との間の南北方向に伸びる細長い湾「カリフォルニア湾」を拠点とするシャチ一族です。
カリフォルニア湾に生息するシャチ集団は以前から雑食の食性を示すことで知られ、魚やウミガメ、海洋哺乳類を含むさまざまな獲物を狩りしています。