加えて、国有林で開発を行う場合、「林地開発許可」を林野庁から取得する必要があり、これが民間事業者にとって大きな負担となっていました。
しかし、「地熱フロンティアプロジェクト」によって、政府が許認可を一括処理する枠組みが整備され、事業者の負担が大幅に軽減される見通しです。
残された課題としては、地熱発電の権利を法律で明確に定める必要があると考えています。具体的には「地熱法」を制定し、民間事業者が安定的かつ積極的に開発を進められるよう、法的な基盤を整えたいと思っています。実現すれば、地熱発電のさらなる普及が可能になると確信しています。
次世代地熱への期待米国では「クローズドループ」と呼ばれる技術が実用化に向けて進展しています。この技術は、地中に管を設置して流体を注入し、その流体を地熱で温めて循環させる方式です。これにより、従来の地熱発電では開発が難しかった地域でも発電が可能となります。この技術の確立は、地熱発電の適用範囲をさらに広げると期待されています。
また、小説『マグマ』を執筆した作家・真山仁氏が有望視してきた「超臨界地熱発電」の技術も、一時は停滞していましたが、再び注目を集めています。これらの次世代地熱についても、政府は全面的に支援すべきです。
現在、日本国内でAIやビッグデータ、半導体産業を発展させるためには、膨大かつ安定した電力供給が必要です。震災以降、日本は電力消費を抑える方向に舵を取ってきましたが、今後は最先端技術を支えるための安定的な電力供給を確保しなければなりません。そのためには、地熱発電だけでなく、さまざまな再生可能エネルギー、原子力発電、さらには化石燃料をCCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)技術で補完することも重要です。
私が地熱発電を推進する最大の動機は、安定した電力供給が日本経済の豊かさに直結するからです。子どもたちの未来に豊かで持続可能な日本を残すために、今を生きる政治家として、できる限りの努力を続けていきたいと考えています。