地熱エネルギーの最大の特長は、すべて国産でまかなえる点です。日本はもともとタービンなどの製造技術に強みを持っており、地熱発電の設備をすべて国内で生産することが可能です。一方で、太陽光パネルは現在ほとんどが輸入品であり、国産化が進んでいません。
このように、国産であるという地熱エネルギーの強みは、日本にとって非常に大きな価値を有しています。
地熱はなぜ普及しなかったのか?地熱発電がこれまで普及しなかった理由の1つに、民間企業にとって非常に高いリスクがある点が挙げられます。地熱資源がありそうな場所を調査し、試掘を経て発電が可能になるまでには、少なくとも10年かかると言われています。そのうえ、調査の結果、期待通りの熱源が見つからない場合も多く、この不確実性が大きな障害となっていました。
今回の「地熱フロンティアプロジェクト」では、独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)」が民間企業に代わり資源調査や試掘を行う仕組みを導入しました。これにより、地熱発電として利用可能になった段階で、そのプロジェクトを民間企業に引き渡す形を取ります。
この枠組みによって、民間企業が負うリスクを大幅に軽減することが可能となりました。この取り組みは、超党派議員勉強会「マグマプロジェクト」の一環として我々が提案したもので、「国が前面に出るべきだ」との主張が実を結びました。
さらに、地熱発電の普及には、多くのプレイヤーとの合意形成が必要です。例えば、国立公園内で開発を行う場合、環境省の許可が必要です。私が環境大臣を務めていた際も、地熱発電を国立公園内で開発できるよう政策転換を図りましたが、環境保護の観点から調整には時間を要しました。
また、地熱発電所は温泉地に近い場所に設置されることが多いため、温泉業界から反対の声が上がることもあります。地熱発電と温泉は基本的に異なる地層を利用するため影響は少ないと考えられていますが、不安を払拭するためには業界との対話が必要です。