その理由はいくつもあるのですが、私がこれかな、と思うのがドイツ人の財政規律への自らの縛りが強すぎ、国内投資が滞ったことで自虐的状況にあるとみています。ドイツとしてはEU財政の盟主として自らを律せずして他人にどう強要できようか、という発想があるはずで、結局、ドイツ自身がEU故にフレキシビリティをなくしてしまっているのです。
ドイツ国内ではVWのストライキが過激になり、経営側と組合側の対立は半端ではなくなってきました。またオランダに本部を持つ世界第4位の自動車メーカー、ステランティスは販売不振で遂にCEOが辞任しました。同社組合は「当然!」という姿勢を示し、自動車メーカーにおける労使の先鋭な対立関係も欧州問題の一端を担っています。
こう見るとEUという縛りが様々な足かせになっている公算はあり、これが構造的問題だとすればいつかはEUの取り組みは崩壊せざるを得ない気もします。もちろんそれは目先の話ではなく、欧州がいよいよ苦境から脱せず、EUの規律が形骸化した時でしょう。その時点で市場は欧州を見限るということです。
実に残念ですが、これが私がみる欧州であり、一枚岩でどこまで留まれるのか、疑問符をつけざるを得ないところです。英国でEU復帰論もありますが、止めたほうがいいと思います。EUは加盟国は膨張するもその制度的矛盾を隠せなくなっているのです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年12月3日の記事より転載させていただきました。