そしてデータ分析の結果、被験者と保護者の両方がマッサージ介入によってADHD症状が改善していると報告したことがわかりました。
症状の有意な改善は6回目のセッションまでにすでに見られており、被験者のADHD症状を評価する質問では、不注意と多動性のスコアが低下し、反対に集中力のスコアが高くなっていたのです。
また睡眠の質も改善されており、マッサージ介入前と比べて入眠までの時間が短くなっていました。
保護者の回答でも、被験者の多動性や不注意が明らかに減っており、さらにADHD患者によく見られる「反抗挑戦性障害(ODD)」も減少していると報告されています。
ODDはその名の通り、外部刺激やストレスに対して敏感であることから、周囲にすぐ反抗したり、怒ったり、拒否する行動を指します。
この結果を受けて、研究主任のアンナ=カリン・ロベルツ(Anna-Carin Robertz)氏は「タクティール・マッサージが青年期のADHDの多動性および不注意、それから睡眠の質と反抗性を改善できる可能性が示された」と指摘。
「従来の治療法に取って代わるものではありませんが、既存の治療法を補完し、症状のさらなる改善を促すものとして応用できるのではないか」と話しました。
その一方で、今回の調査は被験者数が非常に少ない点で限界もあり、すべての国の10代にも同じ効果が期待できるかどうかはわかりません。
それから気になるのは、成人後の大人のADHDにもタクティール・マッサージが有効なのかどうかでしょう。
しかしタクティール・マッサージは性別・年齢を問わず、万人に対して有効なため、大人のADHDにも十分に効果を発揮する可能性は期待できます。