その背景の一つに欧州が自らが高すぎる理念を掲げ企業に対して過大なるコンプライアンスとガバナンスへの負荷をかけていることは大きいとみています。例えば25年から始まるCSRDと称する非財務情報の開示義務は従業員250人売上約80億店程度の企業全てが対象でその開示項目は1000以上あるとされます。一種のサステナビリティに関する開示ですが、企業が企業活動だけに集中できた数十年前に比べ欧州ではEUという良いところどりの理念先行型の集合体が企業の体力を奪いつつあることに欧州はいまだに気がついていないとも言えるのです。
欧州企業の低落は中国企業を利するのは当然でしょう。私は「欧州の病人」と言われた1990年の東西ドイツ統合後のドイツの不況が全欧州ベースに広がるのではないかと懸念しています。これが不治の病にならなければよいと思いますが、欧州は事業がやりにくいところというのがこの10年以上にみられる傾向です。そのような環境の中で世界的な競争力を持つ企業と技術が果たして生まれるのか、最近は欧州発のめぼしい話をとんと聞かなくなったなというのが本日の結論です。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年11月29日の記事より転載させていただきました。