また全個体電池についてもトヨタ/出光グループが2027年から28年頃から搭載、ホンダ、日産も28年から30年にかけて搭載開始を発表しています。中国も太藍新能源社が長安汽車と組んで無隔膜全個体電池を27年に出すことを打ち出しています。VWが出資するアメリカのクアンタムスケープ社もそろそろ進捗のアナウンスがあっても良い頃です。韓国サムスン、LGも競合相手でしょう。つまり世界で電池の支配権をめぐり、過激な戦いが展開されているのであります。その数世界には80社以上あるとされています。

ではEVの売れ行きが一時ほどではない現状でそれらの電池メーカーの勝算はあるのでしょうか?

当然淘汰はされるものの一定の市場はあります。まず、テスラが展開するサイバーキャブがこれから5年ぐらいの間に普及してくればそれらに積み込む電池の需要は当然あります。EVの好き嫌いは個人の感性の問題ですが、サイバーキャブのように一種のインフラとなってしまえばそれは利用者の好みとは関係ないわけで政府や企業の後押し次第になります。

もう一つは電動垂直離着陸機(eVTOL)です。この夢のような空飛ぶクルマは案外実現するのがさほど遠くないところにあります。アイディアとしてはウーバーのような配車サービスで近くの離着陸場に行き、このeVTOLに乗り換え、空を一気に駆け巡り、目的地そばの離着陸場に到着、そこから先は再び配車サービスを使うというもの。いつ実現するかと言われれれば26年にも始まるとされています。当然この離着陸機は電動ですので電池がいります。航続距離は各社現状で概ね150キロ程度ですので中距離の移動にはもってこいということになります。時速は250-300㌔程度ですから新幹線並みです。

つまり電池の需要はありますが激しい競争で優勝劣敗が進むわけです。では私がこの倒産劇に注目したのはなぜか、といえば欧州の自動車産業は大丈夫か、という懸念なのであります。ご承知の通りVWは経営不振で組合と激しい交渉になっています。BMWもメルセデスなどドイツ勢をはじめステランティスやルノーなど欧州全般に自動車販売が苦しい状況にあります。