また調査により、「政策によって形成された人々の行動」は、政策が撤廃された後もしばらく継続すると分かりました。
人々は、レジ袋が無料に戻った後でも、引き続き多くのプラスチック袋を余分に購入していたのです。
そして政策が実施される期間が長ければ長いほど、撤廃後の行動への影響も長引くと判明しました。
例えば、ダラスでは5カ月だけのレジ袋有料化だったため、政策撤廃後、13カ月でプラスチック袋の購入行動が元に戻りました。
しかし、5年間有料化を続けたオースティンでは、政策撤廃後、18カ月経ってもプラスチック袋の購入量が元の水準(政策前のベースライン)に戻らず、研究チームによる分析が終了する時にも、ベースラインより38.6%高いままでした。
もちろん、「レジ袋有料化のメリットは全くなかった」と言い切ることはできません。
研究チームは「レジ袋有料化によって、マイバックを使用する習慣が人々に身に付いた可能性が高い」と述べています。
(ただし、これを証明するデータが得られたわけではなく、この行動の変化も撤廃後に徐々に元に戻っていくかもしれません)
では、増加した「ゴミ袋の使用」に対して、どのように対処すべきでしょうか。
研究チームの分析によると、ダラスでは7回の買い物で1枚、オースティンでは5回の買い物で1枚、それぞれレジ袋の使用を減らすことで、増加したプラスチック消費を相殺できると述べています。
ちょっとした行動の変化により、消費量を調整することは可能なようです。
とはいえ、国民全体でその変化を生じさせることが難しいのですが……
そしてチェ氏によると、今回の研究は、環境政策の意図しない結果についての理解を深めることに役立ち、レジ袋以外の分野にも適用できると考えられます。
例えば、アメリカなどいくつかの国では、清涼飲料などに対して、砂糖含有量に応じた税金「砂糖税(またはソーダ税)」が課されており、このような政策の導入と撤廃は、レジ袋有料化と同様の波及効果をもたらす可能性があります。