911事件後、2001年時点でアルカイーダの指導者ウサーマ・ビン・ラーディンは事件の関与を否定していたが、2004年には実行したのはアルカイーダであることを公式に認めている。更に捜査の結果、2001年以後、徐々に中東のテロ組織アルカイーダが計画、実行したことが明らかとなり、アメリカ政府はテロ組織によるアメリカ国内への直接攻撃という歴史上かつて無かった事態に対処すべく、徹底した報復を行うことを明言していた。
『Loose Change(淫らな変革)』というドキュメンタリー映画は、2004年、突如としてインターネット上に現れ、インターネットミームの先駆けともなっていった。その作りの良さ、綿密に練られた台本、膨大な資料を使っての状況証拠の積み上げによって、陰謀論系の傑作と言われる作品だ。
アメリカの象徴の一つとされた世界貿易センタービルが攻撃された衝撃と共に、このドキュメンタリーがクローズアップされたのは、2001年以後、アメリカ国内では一気に中東問題が注目され、テロ組織壊滅に向け世論が形成されていったことも背景にある。
『Loose Change』自体は、911テロはアメリカ政府批判の為の映画とされている。と言うのも、当時、共和党の支持率回復が必須とされていたブッシュ政権は、その起爆剤がどうしても欲しかったのでは無いか?とされていたことに起因する。もしそうだとすれば、支持率回復の為には、アメリカ国民の目を外に向けさせるに、国家を揺るがす大事件を必要としていたとするなら、911テロ事件はうってつけだった。
大統領就任後、共和党と共に支持率が低下していたブッシュ政権は、911テロによってアルカイーダ許すまじの世論に押される形で、支持率は急上昇し、第二次ブッシュ政権誕生まで高い支持率を維持した。ブッシュ大統領は国防を理由に中東への介入を行い、テロ組織撲滅に向けアメリカ軍派兵を強力に推し進めた。