これは、アジアサッカー連盟(AFC)が欧州のカレンダーに合わせた形で、AFCなどの主催大会において秋春制を導入したことによる歪みといえる。Jリーグも2026年からの秋春制導入を決定している。
日本でも賛否両論が飛び交い、雪国クラブへの配慮やウインターブレークなどの問題を棚上げした形で、半ば強引に決定された印象の秋春制。韓国でも秋春制への論議が始まっているが、なかなか前に進まないのが現状だ。
韓国の冬の寒さは日本以上で、首都ソウルの冬の平均気温はおよそマイナス4度にまで冷え込む。また、夏の蒸し暑さが日本ほどではないということも、この議論に待ったをかけている。
韓国ナンバーワンのシェアを誇るスポーツ紙『スポーツ朝鮮』では、「Jリーグでは、雪国にある一部クラブから反対の声が挙がりつつも、最終的にシーズン移行を決断した。サッカー界の世界的な流れに沿う形を採ったことで、Kリーグも岐路に立たされている」としつつも、秋春制の移行には多くの問題があることを指摘している。
Kリーグで秋春制導入議論が進まない理由
Kリーグは長くプロ野球(KBOリーグ)の人気に押され、2002年の日韓ワールドカップに向けて建設された巨大スタジアムにも閑古鳥が鳴いていた。しかし各クラブの集客努力の結果、2023シーズンにようやく最多観客新記録を樹立し、「平均1万人」を実現した。
この現状の中、強引に秋春制導入すればファン離れを招き、各クラブの努力を無に帰す恐れがある。また、日本とは逆に「あまりの寒さのせいで芝が凍ってしまい、選手のパフォーマンスが低下する」という指摘もあるほどだ。「酷暑での試合を回避できる」という最大のメリットがないとなれば、Kリーグに秋春制を導入するメリットが見当たらないのだ。
欧州5大リーグが秋春制であるからといって、欧州の全てのリーグがそうなのかといえば否だ。ノルウェー、スウェーデン、フィンランドなどといった北欧の国や、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国、南米に目を向ければアルゼンチン以外のリーグは全て春秋制だ。