メルチュ社の不可解な動き
もし仮に斎藤知事の選挙運動が適法だと認められたとしても、大きな疑問は残ると同記者はいう。
「もし斎藤知事がメルチュ社にSNSに関する業務を委託しておらず、対価も支払っていなかったとすれば、なぜメルチュ社はざわざわ公選法違反を疑われるような投稿を自発的にしたのかが不可解です。会社にとっては何のメリットもなく、その点は腑に落ちません。また、もしメルチュ社として違法行為を行ったという認識がないのであれば、会見なりを開いてきちんと説明すれば済む話ですし、会社のサイト上に経緯を説明するリリースを掲載するという手段も取れるのに、折田氏が雲隠れ状態で一切の説明を避けている点も疑問です」
行政書士で選挙プランナーの戸川大冊氏も11月26日付当サイト記事で次のように疑問を呈していた。
「メルチュ社がサイトに投稿した記事によれば、同社は公示前の10月上旬からSNS戦略の企画・運用に携わっていたとみられますが、公示前であれば選挙運動ではなく政治活動への協力となり、仮に公示前に有償で業務を受けていたとすれば形式上は適法となります。ただ、もし仮にメルチュ社がボランティアで協力していたとすれば、そのように記述するのが自然ですし、会社のイメージとしてもそのほうが良いでしょうから、わざわざ報酬を受け取ってるかのように虚偽の説明を行う合理的な理由が見つからないという点は疑問を感じます」
PR・広報会社としてのメルチュ社の振る舞いにも疑問が寄せられている。当該「note」記事には、メルチュ社が斎藤知事に示した提案資料の一部である「SNS運用フェーズ」の画像が掲載され、10月1日より順次「立ち上げ・運用体制の整備」「コンテンツ強化(質)」「コンテンツ強化(量)」を行うというスケジュール案が記載されていたが、指摘が出始めた後にその画像を削除。今回の県知事選の告示日は10月31日だが、告示日より前の選挙運動は公職選挙法により禁止されている。
マーケティング会社役員はいう。
「企業が実績のPRや宣伝のために自社が手掛けた顧客・ユーザーの導入事例を公表する場合、その相手顧客の合意を得て、かつ公表する内容を事前にチェックしてもらうというのはビジネス上の常識。斎藤知事側のコメントを見る限り、それを怠っていたとみられ、ビジネスの進め方として問題がある行為といえ、そうしたミスを顧客にPR・広報の助言を行う立場の会社がおかしたということになる。PR・広報を主たる業務とする会社が自社のPR・広報活動で大きな問題を招いてしまったという点も、同社の信用低下につながるのは避けられない。そして、やはり気になるのは、なぜ指摘が広まった後に何の説明もなしでnote記事の一部を削除したのかという点だ。問題が広まった後に説明なしでこのような行為を行うというのも、PR・広報のルールとしては問題がある」(11月23日付当サイト記事より)
メルチュ社は21日にANNの取材に対して、「(弁護士から)『答えるな』と言われています」などとして、公の場での説明を行っていない点にも疑問が寄せられているが、斎藤知事の代理人弁護士はメルチュ社と連絡が取れない状態だと説明している。
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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