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シニア講師/東北営業所 所長 岩澤 雅裕

「社員たちのスキルを伸ばして生産性を上げたい」 「社内情報の共有化を図ることで、社内の無駄なコミュニケーションを減らし、顧客対応力強化を実現したい」 「社内メンバーの知見やノウハウ、発想を結集し、新たな事業を立ち上げたい」

このような考えから「ナレッジマネジメント」に取り組むも、思うような成果が出せていない会社が多くあります。

今回は、ナレッジマネジメントを組織に浸透させるための注意点をお伝えします。

ナレッジマネジメントとは

ナレッジマネジメントは、個人の持つ知識やスキル、ノウハウなど業務上で役立つ情報を組織全体で共有し、活用する取り組みを指します。

個人によってつくり出される知識を組織的に増幅し、組織の知識ネットワークに結晶化することでイノベーションを起こす経営の実践です。

これが本来の意味ですが、通俗的な意味において、属人的な知識、スキル、ノウハウを可視化し、ITツールなどを活用することで管理する取り組み、暗黙知を形式知に変換して共有し活用する取り組みをナレッジマネジメントと呼んでいるケースもあります。

本来の意味と通俗的な意味のどちらの観点でナレッジマネジメントを捉えるかは、文脈によると言えるでしょう。

前者の観点において、社内の知見やノウハウ、発想を結集し、イノベーションを起こすことは企業の競争力を強化することにつながりますので、ナレッジマネジメントは極めて大切な取り組みです。

後者の観点においても、昨今は働く人の高齢化により業務ノウハウの社内伝承が必要となっていることや、終身雇用の正社員を中心とした組織から時短勤務社員、副業社員、アウトソーシング活用など、多種多様な労働力を活用することが求められている背景により、ナレッジマネジメントの重要性は高まっています。

一社員が幅広い業務を属人的に対応する組織ではなく、業務の属人性を排し、複数の社員が誰でも対応できる業務運営体制をつくっていかなければ、組織の持続が困難な環境となっているからです。