さて昼食の後、船長の提案もあり前日にヘダイが好調だったというイカダに替わることとなった。ここでサビキは終了。仕掛けを胴つき3本バリに替え、渡船に乗り込んで次のイカダに移った。アジは泳がせ用の10数匹だけ生かしておいた。
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まずはカワハギ狙いから……と、渡邉さんは冷凍アサリをハリに刺して投入。底に着いた途端、カンカンッと金属的なアタリとともに、サオが曲がった。浮いてきたのは、果たしてカワハギ。手のひらより少し大きなサイズだが、いきなりの本命にびっくりだ。
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だが後が続かないので、ここで温存していたダンゴを投入。そう、五目釣りでも、クロダイ釣りで使うダンゴは有効。特にカワハギやヘダイには有効なまきエサなのだ。
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渡邉さんが間断なくダンゴを投入し続けると、1時間もしないうちに魚が寄ってきたようで、アタリが頻繁に出るようになってきた。上がってくるのはチダイ、小ダイ、そしてヘダイ。
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ヘダイの型が意外に良く、尾頭付きの塩焼きにぴったりのサイズ。小ダイも25cmほどあり、こちらもいい土産だ。魚種が増えて五目釣りらしくなってきたところで、1本だけ入れておいた泳がせのサオに異変が起きた。
一気に走った大物の正体は……
シーバスロッドのサオ先が不自然に揺れた後、ジャーッとドラグが鳴って、ラインが一気に出される。このスピードは間違いなく青物!この時2人ともそう確信していた。ドラグを締め、渡邉さんファイト開始。シーバスロッドがひん曲がり、ロープに巻かれないよう強引にやり取りする。
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だが、手前まできてどうにも様子がおかしい。最初のスピード感は失せ、鈍重な引きに変わっている。そしてついに底にへばり着いて動かなくなってしまった。この時点で2人とも薄々は気づいていたのだが……。そこから強引に引き上げてくると、水面に現れたのは予想通りのアカエイ。
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